2015年版 個人的にはこのマンガがすごいと思ったんだけど

 一昨年ぐらいから思ってたんですけど、「なぁ……」はなんか冗長ですよね。なので今年から省きます。


過去記事

 以下、今年の私的漫画備忘録です。越すぞ年を。


 選考要件

  • 2014/12/26〜2015/12/25の間に単行本が発行された作品から選びます……という規定を毎年設けていましたが、ちょうど境目の時期に発売された作品については、今後柔軟に対応していこうと思います。
  • ノンジャンルでやります。結果として特定ジャンルばかりになったとしたら、それは単なるぼくの趣味趣向です。
  • 総合部門と、そのほかに一巻部門(期間内に1巻が出た作品対象)、完結部門(期間内に完結巻が出た作品を対象)、一冊部門(短編集および一冊の単行本でまとまってるもの)に分けて1位から5位まで順位をつけます。
  • 以上の条件のもとで、あとは基本的にぼくの好き嫌いを基準に、ぼくが読んだ作品の中から、1位から5位までを選出します。
  • 一応成人向け作品は除外。



 例によって、まずは一巻部門からやります。

一巻部門第5位「ダンジョン飯/九井諒子/KADOKAWA」

 なんというか、すでに評価されまくってるんで今更感があるんですが、九井作品はずっと物語(ファンタジー/フィクション/虚構)におけるリアリティ、あるいは物語ることによってふつうは適度にデフォルメされて捨象される卑小な要素―例えばダンジョンにおける生態系、食事、みたいなもの―への疑義を大きなテーマとして描いてきていて、そういう今までは散発的に提起されてきた疑義が、こうして続き物の作品として結実してくると、やっぱり感動しますね。ずっとブレずにひとつの問題意識をつねに持ち続けているというのがすごい。

一巻部門第4位「イチゴーイチハチ!/相田裕/小学館

 あの『GUNSLINGER GIRL』の相田裕が今度はまるで人畜無害な青春漫画を描きだしたというのではじめは仰天していたんですが、2巻ぐらいからやっと絵柄が話に馴染んできたような感じがします。でもびっくりですよね、本当に。

一巻部門第3位「波よ聞いてくれ/沙村広明/講談社

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)

 この『おひっこし』ともまた違う、このゆったりとして地に足のついた、それでいてどこから何が出てくるかわからない感じはなんなんでしょうか。沙村作品としてはかなり新感覚な気がします。まさかミツオがあんな感じで出てくるとは思わなかった。

一巻部門第2位「世界八番目の不思議/宇島葉/KADOKAWA」

 これはめちゃくちゃ面白いですね。ハルタ本誌で読んだ「言葉はいらない。それがうどんコミュニケーション」にやられました。なんなんだよそれは。

一巻部門第1位「バトルスタディーズ/なきぼくろ/講談社

 日本の野球文化におけるPL的なものについての賛否は正直特にないんですが(この作品はそういうところを自分の過去への愛憎に流されすぎないで極力フラットに描こうとしてるような印象があって好感を持てます)、このなきぼくろという作者の方はめっちゃ野球を描くのがうまいですね。野球の動きというか流れというか、野球漫画の文法みたいなものの扱い方がすごく上手くて、特に試合中の表現については近年稀に見るほどの才能を持ってるような気がします。




 続いて一冊部門。

一冊部門第5位「いないときに来る列車/粟岳高弘/駒草出版

いないときに来る列車

いないときに来る列車

 静岡県西部が誇れない漫画家、粟岳高弘の(たぶん)全年齢向け同人作品集。この人の作品世界は本当にすごいので、特にSF者の方はロリコンでなくても読んだほうがいいと思います。

一冊部門第4位「お尻触りたがる人なんなの/位置原光Z/白泉社

お尻触りたがる人なんなの

お尻触りたがる人なんなの

 あんまりこういうことは言いたくないんですけど、「楽園」誌を買ったらいちばん最初にこれを読みますね。変な気負いが要らないのがいいんでしょうか。

一冊部門第3位「花はニセモノ/仙石寛子/白泉社

花はニセモノ

花はニセモノ

 重そうにしようとすればいくらでも重そうにできるような話をあえてさらっと描くというのはたぶん結構難しくて、それをかなりさらっと、コメディすれすれのでもコメディじゃないところで描くというのが相変わらずすごいですね。今年は地味に仙石寛子イヤーで、1年の間に3冊も単行本が出たというのはたぶん初めてなはずなんですけど、夢かと思いました。

一冊部門第2位「誰でもないところからの眺め/いがらしみきお/太田出版

 ホラー作家としてのいがらしみきおが、ものすごいホラーの具現化としての「震災」をどう消化していくのか、ということに僕はずっと興味があって、『I(アイ)』は正直よくわからなかったんですけど、この作品まできて、ああ、この人はたぶん、自然災害を「消化しない」ことにしたんだな、というのがなんとなくわかった感じがして、なんでホラー漫画として読むと終盤の展開に物足りなさを感じてしまうと思うんですが、僕はかなり強い感慨を覚えました。

一冊部門第1位「ビーンクとロサ/模造クリスタル/イースト・プレス

ビーンク&ロサ

ビーンク&ロサ

 これも物語ることについての物語というか、模造クリスタル的な物語創造論みたいな側面の大きい作品だと思うんですが、ところどころに挿入される「車の魅力」みたいな小噺(?)がすごく良くて、そういう一見無駄で冗長な小噺のコラージュとしてひとつの大きな世界像が浮かび上がってくるみたいな感じが僕はすごく好きでした。




 続いて今年完結作品ですが、昔と較べて観測範囲が狭まってきていてだんだん年間5位まで選出するのが厳しくなってきている感じがします。

完結部門第5位「秋津/室井大資/KADOKAWA」

 「房総半島一周しようぜ サイコーだぞ! 湿気が強くて情が薄くて」打ち切り感がやばいですけど、『秋津』ほど打ち切りが似合ってる漫画もなかなかない気がします。

完結部門第4位「イエスタデイをうたって/冬目景/集英社

 やっと終わった。11巻の表紙の、二人が目線をくれている感じがいかにも罪作りな風情ですね。

完結部門第3位「リューシカ・リューシカ/安倍吉俊/スクウェア・エニックス

 リューシカはなんだか急に物わかりが良くなって終わるんですけど、こわいですね。人が育つってことは本質的に怪現象なのかもしれない。

完結部門第2位「やさしいセカイのつくりかた/竹葉久美子/KADOKAWA」

 女の子たち的にも大団円なんですけど、これは朝永先生や小野田先生とかの大人まで含めた成長物語でもあるんだよなと思うと、なんかすごいうまいことやったなという感じがしてくる。

完結部門第1位「WORKING!!/高津カリノ/スクウェア・エニックス

 そっか、八千代さんの刀は初っ端の出オチのネタをひたすら引っ張ってるんじゃなかったんだな、と思ったらなんかじんわりくるものがありました。やっぱりコメディの根底にはある種の切実さがないといけないんだなというか。




 さいごに総合部門です。毎年代わり映えしないので、コメントとかは特にいいですよね。良いお年を。

総合部門第5位「ぼのぼの/いがらしみきお/竹書房


総合部門第3位「乙嫁語り/森薫/KADOKAWA」


総合部門第1位「娘の家出/志村貴子/集英社

第21回文学フリマ告知

 明日(11/23月祝)の文フリ21に稀風社が出ます。新刊は『誰にもわからない短歌入門』です。僕と三上春海さんとの共著で、互いにひたすら一首評をぶつけあうという、斬新な趣向の本です、と言おうと思ったら、そういえば『回転ドアは順番に』(穂村弘東直子)あたりも似たような形式の本だった、というのを思いだして、でも短歌を腰を据えて「読む」っていうことはやっぱり大事なはずのことで、でもそれが文フリみたいなひたすら短歌を投げつけあうみたいな現場では置き去りにされがちなのかなみたいなことを思います。決して斬新でも目新しくもないのでしょうが、われわれが必要だと思ったことに大まじめに取り組んだ一冊になっているとは思います。詳細下記リンク先を参照してください。


誰にもわからない短歌入門」(第21回東京文学フリマ新刊) - 稀風社ブログ
稀風社 [第二十一回文学フリマ東京・詩歌|俳句・短歌・川柳] - 文学フリマWebカタログ+エントリー


 読んで字のごとく、この本は短歌の「入門書」なんですが、実際のところいわゆる「入門書」的な内容にはなっていないと思います。そもそも、この本は書かれる前から「入門書」であったわけではなく、僕と三上さんで最近の人の短歌を読んで文章を書き繋いでいく中で、事後的に「入門書」として立ち現れてきたようなものです。「入門書」というよりも、敢えて言うならば「思想書」に近い本になった感じがします。
 よく考えてみると、本来の意味での「入門書」というのは、「さあこれから短歌をはじめてみよう! なんだか短歌に興味が湧いてきたぞ!」みたいな感じの人が「じゃあまずは入門書を読んで基本を覚えよう!」みたいな感じで手にとってみるようなイメージなんでしょうか。
 でも、そんなやついるのか? いるとしたら、残念だけどそういう人はそもそも短歌に向いてないんじゃないのか?
 どこかに正解が書いてあるのなら誰もこんなに意味のわからない苦しい思いをして短歌を作ったり文章を紡いだりしてないし、そもそも人はそういうふうに急に何かのスイッチを入れましたみたいな感じで短歌を作りはじめるわけではなくて、むしろこう、本人の意志や都合とは関係なく、短歌が勝手に「できてしまう」状態をなんとかしたくて、こういう「入門書」だったり、あるいは既存の結社とかサークルとか、あるいはネット上のクラスタみたいなコミュニティに接近していったりするというほうが、「短歌に入門する」ことの実態としてはより近いんじゃないかなあと思います。そういう「できてしまう」状態の人向けの「思想書」としては、『誰にもわからない短歌入門』は他に類書の無い、唯一無二の本になったんじゃないかという気がします。
 よろしくお願いしますと言うだけで本が売れたら世話は無いんですが、明日は平和島の流通センターで文学フリマというニッチな同人誌即売会があります。どうか稀風社の『誰にもわからない短歌入門』をよろしくお願いします。ブースは会場2階のエ‐20です。

第二十回文学フリマ告知

文フリ行きません。労働です。世界は腐敗と悲嘆に満ちているというのに何が平和島だ。

『Flippant Segment』(だれにもわからない。 C−37)

四流色夜空(@yorui_yozora)さんのサークル「だれにもわからない。」の同人誌『Flippant Segment』に短歌20首「仮の橋」を寄稿しています。ブースはC−37です。よろしくお願いします。詳細下記URLです。

http://yozora.hatenablog.com/entry/2015/04/15/001511

ゆるキャラがすごい速さでやってきて握手をなすりつけようとする
超うまいスキーの動画をずっと観てそのあと玉音放送を聴いた

 こういう短歌が中心です。



『なぜ52進法は定着しないのか?』(稀風社 E−19)

詳細下記URLです。僕の文章は少ないです。文学フリマとは何か。文学フリマとは何だったのか。文学フリマは何を喪い、どこへ向かうのか。そういうことを考えながら作った本です。稀風社による「文学フリマ」への鎮魂歌のつもりです。よろしくお願いします。
http://kifusha.hatenablog.com/entry/2015/04/27/055532



『海岸幼稚園(重版)』(稀風社 E−19)

品切れしてましたが重版しました。よろしくお願いします。

 この歌集『海岸幼稚園』は平成二十六年の五月に刊行されたもので、『さよならが来るのを待っている君へ』に続く、僕と三上春海の習作、あるいは競作としての第二歌集である。僕の作品については平成二十五年の春あたりから、翌平成二十六年の春あたりまでの作品を収めたはずだ。
 正直そのころの僕はまだ、自分が短歌でやろうとしていることが一体どんなことであるのか、全く言語化できていなかった(短歌を作っていて楽しい時期というのはそういう時分ではないかという気もする)。しかし、今(二十七年四月)の僕にはそれがぼんやりながらわかっている。「見る」ことの正体は「記憶」なのだ。より確かなことを言えば、何を「忘れ」、何を「思い出す」のかというところに人の生の本質があるのではないかという気がするのだ。そう考えると冒頭の一首というのはなかなか象徴的で、僕たちは「記憶」という遠近法によって描かれた一枚絵の深遠へと目を凝らし続けることでしか、おのれの生を確立しえないのではないだろうか。だから言語表現におけるアクチュアリティというのはつねに虚構にすぎない。
 また、それを思うと、.あいあ氏による素晴らしい装画に描かれた奥行きのある光景、そしてそれを纏った本書も、僕にとって愛おしいものに感じられる。(鈴木) (平成二十七年四月、第二刷に際して記す)

 あとがきだけ替えました。中身は一緒です。まだ持ってない人はちょっとまずいと思います。よろしくお願いします。

『歌壇』2015.5月号掲載のお知らせと誤表記の訂正

 本阿弥書店『歌壇』5月号特集「次代を担う注目の新星たち」特集に、短歌7首「江の島2013」と小エッセイを寄稿しています。全国書店で取扱いがありますので、何卒よろしくお願いします。

歌壇 2015年 05 月号 [雑誌]

歌壇 2015年 05 月号 [雑誌]

[rakuten:book:17414118:detail]


 また、掲載原稿に印字の誤り(全角スペースの脱落)が3か所ありましたので、編集部のおゆるしを得た上で、こちらで訂正させていただきます。

(5首目) 
〈誤〉夭逝さえも才能であるときみは有線がほつりと切り替わる
〈正〉夭逝さえも才能であるときみは 有線がほつりと切り替わる


(6首目)
〈誤〉江の島が見えるよ誰がそう言ったのだろうだれも憶えていない
〈正〉江の島が見えるよ 誰がそう言ったのだろう だれも憶えていない

 送った原稿のうちの「全角スペース」が一体どこでどうして転がり落ちてしまったのか僕には皆目見当もつきませんが、水道橋の近辺でもし「全角スペース」が落ちているのを見かけた人がいらっしゃいましたら、それはおそらく僕のなので、僕か本阿弥書店様にご一報いただけましたら幸いです。



『歌壇』6月号掲載告知(その後の経過) 5.17追記

歌壇 2015年 06 月号 [雑誌]

歌壇 2015年 06 月号 [雑誌]

 5月14日発売の『歌壇』6月号の158ページ左下に上記2首の訂正が掲載されています。せっかく二か月も連続で掲載していただいたので、改めて皆様よろしくお願いします。


 その後の経過としては、なんでも僕が「全角スペース」だと思っていたスペースのうち、じつは「半角スペース×2」で打ちこまれていたもものがあり、その分だけ、Wordのおせっかいな自動修正機能によって消えてしまっていたようです。自分のPCでファイルを開く分にはきちんと表示されていたスペースが、本阿弥書店様でこちらからメールでお送りしたファイルを開く段階で、既に消えてしまっていたとのことで、そりゃ気づかないよなあという感じです。
 ただまあ、当然無意味にスペースを入れたつもりはないので、こうしてきちんと訂正を入れて下さって本当によかったと思います。

2014年版 個人的にはこのマンガがすごいと思ったんだけどなぁ……

 たいへんお久しぶりです。このブログが完全にコレ専用になってしまっています。1年ぶりの更新ですが、この1年の間に仕事がありえないほど忙しくなったり失業したり再就職の目途が立ったりいろいろありましたが、漫画は例年ほど読んでません。なので、例年以上に偏った趣味からのランキングになることをご容赦願います。


過去記事

 始めたときにはまさかこれが5年も続くとは思いませんでした。
 以下、今年の私的漫画備忘録です。越すぞ年を。


 選考要件

  • 2013/12/26〜2014/12/25の間に単行本が発行された作品から選びます。
  • ノンジャンルでやります。結果として特定ジャンルばかりになったとしたら、それは単なるぼくの趣味趣向です。
  • 総合部門と、そのほかに一巻部門(期間内に1巻が出た作品対象)、完結部門(期間内に完結巻が出た作品を対象)、一冊部門(短編集および一冊の単行本でまとまってるもの)に分けて1位から5位まで順位をつけます。
  • 以上の条件のもとで、あとは基本的にぼくの好き嫌いを基準に、ぼくが読んだ作品の中から、1位から5位までを選出します。
  • 一応成人向け作品は除外。
  • 読書メーターは結局長続きしなかったです。



 今年もまずは一巻部門から。

一巻部門第5位「フラグタイム/さと/秋田書店

 一応もう2巻も出て完結していますが、それを僕がまだ読んでないので一巻部門に入れました。
 主人公に時間を止める能力があるというのはアダルトコンテンツ界隈では既に使い古されまくった設定だと思うんですが、それが百合ものになるとなかなか新鮮です。また、能力の使い方が面白くて、主人公の引っ込み思案で自信のない性格からくる説得力があるのでちゃんとこの設定を道具として乗りこなしているように思えます。

一巻部門第4位「夕空のクライフイズム/手原和憲/小学館

夕空のクライフイズム 1 (ビッグコミックス)

夕空のクライフイズム 1 (ビッグコミックス)

 サッカー漫画です。サッカーの戦術に関することとかマニアックなネタが作品の主題に近いところで扱われている(らしい)のですが、サッカーに特に深い関心の無い読者にもわかりやすくて面白いです。サッカーって素人目にはどうしてもセンスとフィジカルありきな競技に見えちゃうんですけど、そうじゃないんだなという。それと雨ちゃんの太腿がとても良いと思いました。

一巻部門第3位「あれよ星屑/山田参助/KADOKAWA」

 男の容姿をずいぶん艶っぽく描くなあと思っていたら、ゲイポルノ作品を主に手掛けていた人だそうで、なるほどと思いました。
 絶望とあっけらかんさ、生と死、猥雑さと孤独、そういったものが背中合わせの闇市の情景をあざやかに描いた一巻も、主人公二人の中国戦線でのエピソードを描く二巻以降もとても魅力的。

一巻部門第2位「応天の門/灰原薬/新潮社」

応天の門 1 (BUNCH COMICS)

応天の門 1 (BUNCH COMICS)

 若き菅原道真と好中年在原業平が京にはびこる怪事件をアレするアレです。当時の権力構造とか歴史的な状況とかはよく描けていて好ましいです。タイトルが示すように今後徐々に応天門の変へと物語が進んでいくのだろうと思います。
 ひきこもり天才少年道真の造形が今に伝わる人物像やその後の栄達を重ねた史実とどうも一致しないところが気になりますが、たぶんちゃんと考証していると思うので、今後道真少年の生き方やその後の伝えられ方が変わるようなきっかけがあったりするのかもしれません。

一巻部門第1位「娘の家出/志村貴子/集英社

 オムニバスストーリーかと思いきやまためんどくさい人たちの群像劇の幕が上がりそうで、僕は正直かなり期待しています。


 一巻部門6位以下(順不同)
働かないふたり 1 (BUNCH COMICS) 実家住み無職はつらい。
おしえて! ギャル子ちゃん 1 (MFコミックス) 鈴木健也先生が楽しそうで何よりです。
おかえりなさいサナギさん(1)(少年チャンピオン・コミックス・タップ! ) 若干画力が向上してる気がする。
女子小学生はじめました P! 1 (ジェッツコミックス) 本当にくだらなくて良い。
少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS) ほのぼの抒情派ディストピア




 続けて一冊部門。

一冊部門第5位「ビオトープ/ハトポポコ/KADOKAWA」

ビオトープ (電撃コミックスEX)

ビオトープ (電撃コミックスEX)

 ムーの小物感が最高でした。あと「あとがきは緊張してしまって言葉に詰まります」という作者あとがきが面白かったです。

一冊部門第4位「蟹に誘われて/panpanya/白泉社

蟹に誘われて

蟹に誘われて

 表題作「蟹に誘われて」がとても良かったです。あと椰子の実で発電する話が面白かった。迷子になる感覚とでも言うのか、作者は「知らない街」、あるいは「どこでもないどこか」というものを描く力にとても長けている人なんだと思います。

一冊部門第3位「空也上人がいた/新井英樹(原作:山田太一)/小学館

空也上人がいた (IKKI COMIX)

空也上人がいた (IKKI COMIX)

 新井英樹先生というのは「眼」で何かを表現するのがとても巧い漫画家で、それがこの原作にたぶんすごく合ってたのだろうなと思いました。
 それとこの作品も連載されていたIKKIの終刊というのは今年の一大トピックというか、サブカル漫画のひとつの時代が終わったような印象があります。

一冊部門第2位「夜毎の指先/真昼の果て/仙石寛子/白泉社

夜毎の指先/真昼の果て

夜毎の指先/真昼の果て

 「真昼の果て」も「夜毎の指先」もとても良かったです。巻末の短い描き下ろしの「どうせまた、朝が来るから」も善悪の彼岸にある底抜けの無邪気さみたいな感じがして好きでした。元々「禁断の恋」というのを大きなテーマとしている作家が、四コマ漫画誌という媒体の制約を離れてすごいことになっちゃったなあという印象。掲載誌『楽園』はなんというかすごく豪華な同人誌みたいで面白いですね。

一冊部門第1位「春風のスネグラチカ/沙村広明/太田出版

春風のスネグラチカ (F COMICS)

春風のスネグラチカ (F COMICS)

 IKKIの終刊とともにエロFの終刊もまた今年の大きなトピックだったと思います。紙雑誌媒体からウェブ連載に移行する流れというのはたぶん当面続くのでしょう。「マンガ雑誌」というパッケージごと消費する文化というのが無くなりつつある現状、そうした形式のほうが消費実態に見合っているのだと思います。
 それはさておき、近代ロシア史へのささやかな妄想から、ここまで精緻な物語を創りあげる筆力は本当にすごいの一言。お笑い路線でないほうの沙村広明作品の中では最高傑作になるかもしれない一作だと思います。


 一冊部門6位以下(順不同)
彼女のカーブ (F COMICS) 絵が良いと思います。言うほどカーブの話ではなく表紙詐欺感あり。
アナーキー・イン・ザ・JK (ヤングジャンプコミックス) サキュバスちゃんがかわいい。
白い狸 横山旬作品集 (ビームコミックス) カネコアツシ系統。『雑誌「ヨミ」』が熱い。
月刊すてきな終活 (バンブーコミックス) さすがにちょっと小坂先生の手に余るテーマだったのかなという印象。
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!) この悪趣味さに救われる人間というのもどこかにはいるのだろうか。
ポム・プリゾニエール La Pomme Prisonniere 鶴田謙二先生がお元気そうで何よりです。




 次は完結部門。

完結部門第5位「百合星人ナオコサン(全5巻)/kashmir/KADOKAWA」

 小児性愛を毒気なく表現するためには女性キャラを使えばいいという方法論を個人的に伸姉メソッドと呼んでいるのですが、それの極北にある漫画ですね。違うかもしれません。

完結部門第4位「魚の見る夢(全2巻)/小川麻衣子/芳文社

 これを姉妹物の百合漫画と言っていいのかわからないですが、そういう枠組みから出てきた作品です。
 「いい子」が「いい子」のまま「いい大人」になれるわけではなくて、どこかで「いい子」の殻を痛みとともに破る必要があって、これはそういう成長物語なんだろうと思いました。最後に姉妹二人が制服のまま旅に出るという終わり方はとても美しいと思います。

完結部門第3位「夏の前日(全5巻)/吉田基已/講談社

夏の前日(5)<完> (アフタヌーンKC)

夏の前日(5)<完> (アフタヌーンKC)

 なんというか、挙げといてあんまりコメントすることが無いんですけど、ぶつかり合うエゴとエゴっていうのは美しいもんだなと思います。

完結部門第2位「ラストイニング(全44巻)/中原裕神尾龍/小学館

 甲子園に行ってからは正直ほとんど蛇足で、2〜3回戦あたりで難波南洋と当たってしまえば良かったのにという気がしないでもないです。とはいえ、この作品は野球漫画の世界でひとつの金字塔を築いたと言っていいんじゃないかと思います。それと同時に、『ラストイニング』の完結を境に、野球漫画におけるリアリズムの潮流というのは一旦退いていくのかもしれません。

完結部門第1位「ねじまきカギュー(全16巻)/中山敦支/集英社

 最初から最後までずっとものすごいテンションと熱量のままで駆け抜けたとんでもない作品でした。カギューちゃんがブレずに猛スピードでか強くわいくなっていく物語でもあり、また「愛」についての物語でもありました。出はじめの頃はギャグ寄りのバトル漫画なんだとばっかり思っていたのですが、そういう予測を突き抜けてすごいところまで行ってしまいました。


 完結部門6位以下(順不同)
羊の木(5) (イブニングコミックス) 結局、前科者に限らず人間は誰が何をしでかすかわからないという話。
キヌ六(2) (アフタヌーンコミックス) スピード感とグルーヴ感と打ち切り感あふれるスチームパンク少女逃避行。
犯罪王ポポネポ 4 (ヤングジャンプコミックス) 倒錯の見本市。
新世紀エヴァンゲリオン (14) (カドカワコミックス・エース) 貞本ヱヴァは登場人物全員人間っていう感じが良かった。




 最後に総合部門。基準がないと逆に困るやつです。

総合部門第5位「この世界には有機人形がいる/蜈蚣Melibe/太田出版

この世界には有機人形がいる

この世界には有機人形がいる

 正直そんなに「オススメ」できるタイプの作品ではないのでランキングに入れるかどうか最後まで迷いましたが、この作品が2014年に刊行されたという事実はどこかに記念されておくべきだと思います。

総合部門第4位「灰色の春/小坂俊史/ジャポニカ自由帳」

灰色の春
 アマゾンや楽天には無かったのでCOMICZINの通販サイトへのリンクを貼っています。コミティアで頒布されていた小坂俊史先生の同人作品で、小坂先生ご自身の遠野市での被災体験が『遠野モノがたり』のなのかに仮託されて淡々と綴られています。
 東日本大震災やその後の原発災害を取り扱った作品はちょくちょく出てますし、多分今後もしばらくはちょくちょく出るんだろうなと思いますが、等身大の記録というか、事実の大きさに圧倒される一人の当事者/非当事者の小ささということがもっと描かれていいのかなと思ったりします。

総合部門第3位「それでも町は回っている/石黒正数/少年画報社

 第104話「暗黒卓球少女」が素晴らしかったです。

総合部門第2位「子供はわかってあげない/田島列島/講談社

 素晴らしい装丁と相次いで繰り出される小ネタと最高の夏。アタックチャンスとかジョニーとかはあれはサクタさんの超能力なんでしょうか。あるいはもじくんが砂浜に文字を書いたら云々というのも彼の超能力なのかもしれず、もしかしからこの作品は「人は誰しも何かしら超能力を秘めている」という話だったりするのかもしれないと今思いました。

総合部門第1位「シャーリー/森薫/KADOKAWA」

 11年ぶり新刊。11年前というと僕はまだ物心もついてない中学生でした。隔世の感があります。
 ハイヒールの話が微笑ましくて良かったです。空気感はさほど変わらず、絵はさらに凄くなった印象。世界観に見惚れるというタイプの良さがあります。




 以上です。お付き合いいただきありがとうございました。良いお年を。

2013年版 個人的にはこのマンガがすごいと思ったんだけどなあ……

 お久しぶりです。以下2013年の個人的漫画総括記事です。越すぞ年を。


 過去記事

 


 以下、選考条件は去年とほぼ同じです。

  • 2012/12/26〜2013/12/25の間に単行本が発行された作品から選びます。
  • ノンジャンルでやります。結果として特定ジャンルばかりになったとしたら、それは単なるぼくの趣味趣向です。
  • 総合部門と、そのほかに一巻部門(期間内に1巻が出た作品対象)、完結部門(期間内に完結巻が出た作品を対象)、一冊部門(短編集および一冊の単行本でまとまってるもの)に分けて1位から5位まで順位をつけます。
  • 以上の条件のもとで、あとは基本的にぼくの好き嫌いを基準に、ぼくが読んだ作品の中から、1位から5位までを選出します。
  • 読書メーターとかいうクソサービスを使い始めたらおかげで自分が何読んだのか後から参照できるようになってこれは革命だなと思いました。





 まずは一巻部門から。

一巻部門第5位「エバタのロック/室井大資/小学館

エバタのロック 1 (ビッグコミックス)

エバタのロック 1 (ビッグコミックス)

 「ネタ的に愛されている大御所ロックスター」というエバタの造形が素晴らしい。つまらない自意識にからめとられている一般市民がロックスター「エバタ」の生き様にひたすら焼かれていく漫画。みんな本当は「エバタ」のように生きたい。
 『秋津』を経てさすがにもう「室井大資がギャグを描いてる!!」というだけでは驚かないですが、秋津が陰性の「めんどくさい男」ならエバタはむしろ陽性のそれという印象。

一巻部門第4位「薄花少女/三浦靖冬/小学館

薄花少女 1 (IKKI COMIX)

薄花少女 1 (IKKI COMIX)

 某学会誌の表紙イラストで騒いでる人たちが見たらめっちゃ怒り出しそうな設定。ハッカばあやのおでこに良さが集約されていると思います。

一巻部門第3位「ぼくらの17‐ON!/アキヤマ香/双葉社

 俳句甲子園漫画。1巻はまだ設定の説明メインかなという印象。謎のヒロインに彼氏いる設定をどうやって活かすのかが見もの。俳句甲子園という題材はちゃんと漫画にすればかなり面白いはずなので頑張ってほしい作品。いまのところ作中に「いい句」として出てくる句はちゃんといい句なので良いと思います。

一巻部門第2位「鬱ごはん/施川ユウキ/秋田書店

 施川ユウキが漫画家になってこういう漫画を描いてくれる世界でほんとうに良かったと思います。バイタリティの無い人のバイタリティの無い物語というのはバイタリティの無さゆえにどこにも出てこないしなかなか読めない。

一巻部門第1位「寄り道ファミリ/タダタグ/芳文社

寄り道ファミリ (1) (まんがタイムKRコミックス)

寄り道ファミリ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 女子高生たちが疑似家族ごっこに興じるお話し。
 基本ほのぼのとした中に、たまにナチュラルな狂気というかある種の不穏さが垣間見れること、それを登場人物たちはちゃんと自覚していて、にも拘らず疑似家族へとのめり込んでいってしまう…… こういうふうに書くとなんかとてもシリアスな作品のようだけど、基本的には萌え4コマ。去年も同じようなことをこのランキングで書いたような気がしますが、こういう基本的には萌え4コマの枠組みの中にあって、でもそれを時々裏返してくるような作品を載せてくるきららミラクという雑誌はとても良いと思います。


一巻部門6位以下(順不同)
てるみな 1―東京猫耳巡礼記 kashmirにここまでやらせる楽園がすごい。
けんもほろろ(1) (バンブーコミックス) みんなかわいい。
お前は俺を殺す気か 1 人格にやや問題のあるヒロイン×2。
富士山さんは思春期(1) (アクションコミックス) 奥付が良い。
千と万(1) (アクションコミックス(コミックハイ! )) 合法関谷あさみ
あそびあい(1) (モーニング KC) もったいない精神。
ベアゲルター(1) (シリウスKC) 最初っからぶっ飛んでる。




 続いて一冊部門。

一冊部門第5位「四谷区花園町/高浜寛/竹書房

四谷区花園町

四谷区花園町

 ざっくりいうと「性」と「愛」と「青春」の物語。こういうベタで王道なやつがいちばん難しくてそして尊いのだと感じます。

一冊部門第4位「PiNKS/倉金篤史/徳間書店

PiNKS (リュウコミックス)

PiNKS (リュウコミックス)

 小学生男子と小学生女子がエロ本を欲しがる漫画。
 なんか自分が大人になってよく思うのだけど、子どもって子どもが感じ取るよりも遥かに子ども扱いされてたんだなという、そういう子どもの切実さと大人の温かさの同居する良作です。

一冊部門第3位「バーナード嬢曰く。/施川ユウキ/一迅社

 ファッションとしての読書と読書家の自意識について。神林さんがめっちゃかわいい。基本的に僕はめんどくさい女の子が好きなんだと思います。

一冊部門第2位「一番星のそばで/仙石寛子/芳文社

 これ実は今さっき読み終わったばっかりなのだけど、仙石寛子の今のところ最高傑作なんじゃないか。きょうだい愛が素晴らしいし会話はあざやかだしサスペンス要素がキマってるし、何よりこのテンポが最高に心地よいので仙石寛子さんにはどうか今後ともこのコマ割で貫き通していただきたいです。
 あと「イカとタコ」がやばかった。

一冊部門第1位「モノローグジェネレーション/小坂俊史/竹書房

 すごく勿体ないなと思うんですがモノローグシリーズは今作をもって完結とのこと。
 中央線や遠野といった土地縛りも面白かったけど、今作は土地の縛りから解き放たれたことによって、ひとりの人間がひとりの人間として語るということの抒情がよりいっそう鋭ぎ澄まされたような印象があります。特に15話には慄然としました。


一冊部門6位以下(順不同)
大好きが虫はタダシくんの―阿部共実作品集 (少年チャンピオン・コミックス) コミュニケーション怖い。
ひきだしにテラリウム 「えぐちみ代このすっとこ訪問記 トーア国編」が良かった。
清新作品集 12連休 (ビームコミックス) 風邪をひいて休む話が良かった。
オンノジ (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス) 結末が唐突。
私という猫 ~呼び声~ (バーズコミックス スペシャル) 犬猫畜生。
さよならまたこんど (フィールコミックス) (Feelコミックス) 人生はままならず、人間はしぶとい。
虹の娘 (Feelコミックス) 「愛され洋輔」が良かった。作者のバックグラウンドが謎。
續 さすらいエマノン (リュウコミックス) 静かな作品。
さよーならみなさん (ビッグコミックス) バイト先がヤバイ。学校もヤバい。




 続いて今年完結の作品です。

完結部門第5位「純潔のマリア(全3巻)/石川雅之/講談社

純潔のマリア (3) (アフタヌーン)

純潔のマリア (3) (アフタヌーン)

 神と人の物語。だったのが最後にすぐそこにある青い鳥を見つけて幸せになるまでの物語になったのはすごく良かったと思います。

完結部門第4位「カレチ(全5巻)/池田邦彦/講談社

カレチ(5)<完> (モーニング KC)

カレチ(5)<完> (モーニング KC)

 5巻がとても良かったです。あとがきの中で「国鉄をオムニバス形式で描いていくつもりが、続けて行ったら国鉄民営化を描かざるを得なくなった」というようなことが書いてあって、作者の真摯さにすごく好感を持ちました。
 国鉄の終焉とともに去った荻野カレチはたぶん作者の「国鉄」観の象徴だったんだなと思います。

完結部門第3位「光の大社員(全5巻)/OYSTER/双葉社

光の大社員(5) (アクションコミックス)

光の大社員(5) (アクションコミックス)

 OYSTERは天才的に面白かった。すずなさんの恋が実って?良かったなと思いますが忍者係長の何が良かったのかさっぱりわかりません。やっぱり忍者なところでなんでしょうか。

完結部門第2位「デイドリームネイション(全5巻)/kashmir/メディアファクトリー

 ゆるファンタジーとしても文化系の青春物語としてもギャグ漫画としてももちろんすごく面白かったのですが、個人的にはこの作品の持つ地方都市的な抒情を特に推したいと思います。伊那盆地はとても良いと思います。

完結部門第1位「青い花(全8巻)/志村貴子/太田出版

青い花(8)(完) (Fx COMICS)

青い花(8)(完) (Fx COMICS)

 あーちゃんのおもらしが素晴らしかったです。性的な原体験って怖いですね。


完結部門6位以下(順不同)
カブのイサキ(6)<完> (アフタヌーンKC) 結末にはたいして期待してなかったけどまあそんなもんだった。
星川銀座四丁目 (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) 合法であることにこだわってる感じがやばい。
空が灰色だから5(完結)(少年チャンピオン・コミックス) チャンピオンを風のように駆けて行った。
少女素数 (5) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 女の子信仰。
月曜日の空飛ぶオレンジ。 (2) (まんがタイムKRコミックス) 不条理の限界は2巻までっぽい。
紫色のクオリア (3) (電撃コミックス) 巻末のショートストーリーが良かったです。




 最後にいちばん投げやりな総合部門。

総合部門第5位「足摺り水族館/panpanya/1月と7月」

足摺り水族館

足摺り水族館

 主人公が主に歩いて移動することで別次元の何かに出会う物語群。ノスタルジーと魚。歩くって良いなと思います。あとこの本は本としてすごく綺麗で一家に一冊置いておきたい感じがします。

総合部門第4位「ぼくらのへんたい/ふみふみこ/徳間書店

 最近急に面白くなってきた気がするのは単にあかねちんがかわいいからというだけではないような気がします。人がちゃんと成長していく漫画は良いです。

総合部門第3位「よつばと!/あずまきよひこ/アスキー・メディアワークス

よつばと! 12 (電撃コミックス)

よつばと! 12 (電撃コミックス)

 さらっと食器を持ってきてるみうらがめっちゃ良い。

総合部門第2位「ぼのぼの/いがらしみきお/竹書房

 アライグマの親父はいい親ではないと思うけどなんていうかめっちゃ「親!」って感じがしますね。親なんてそんなもの、っていうとなんか違うけど、人が人を育てるって本当はこのくらいハードル低くないとダメなんじゃないかというか。そのへんシマリスくんの家族との対比が面白くも残酷でもあると思います。

総合部門第1位「放浪息子/志村貴子/エンターブレイン

放浪息子 15 (BEAM COMIX)

放浪息子 15 (BEAM COMIX)

 漫画は終わっても人生は物語とは違うので彼らの人生はずっと続いていくわけで、だから何も悲しむことはないんだと思いました。




 良いお年を。

短歌まとめ 2101〜2200 母国語でインターネットしている日いまいる場所で死ぬということ

 久しぶりです。




母国語でインターネットしている日いまいる場所で死ぬということ


胴上げをされたいひとと胴上げをしたいひとの思惑の一致


生きるってそんなにすごいことじゃない テーブルに置き手紙 遅夏


古樹高く聳えていたり君は僕とドーナツを食べに行くってうわさ


かぎりある暮らしの中でコースターふたつ転がるような黄昏


筆圧のすごい上司の筆圧のやばい文書を眺めていたり


少しだけ曲がった駅を少しだけ頸をかしげて電車が過ぎる


野球部のかばんてかてかひかってる人生はこんなに軽いのに


知りたくもない事を知る夏宵のライアン小川投手の背中


ネグレクトされてもぼくらてろてろのピカチュウパジャマ持ってるkids!


遠浅の海どこまでも歩いてる(ヘブライ語には過去形がない)


港北のIKEAに人の住めそうな住めなさそうな夕のきらめき




 最近「同人活動がんばろう!」みたいな気持ちになってきているので、気持ちがあるうちに頑張ろうと思います。いやまあ、勝手にやれよって話なんですけど。